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子どもたちの「普通」を知る─看護師・杉山さんが語る障害児支援の魅力と挑戦

「その子にとっての『普通』とは何だろう?」

──重症心身障害児を支援する重症児デイ Hütte・HütteKinder(ヒュッテ・ヒュッテキンダー)で働く看護師、杉山さんは、子ども一人ひとりの個性に寄り添いながら仕事をしています。福祉の現場で8年目を迎える杉山さんに、仕事のやりがいや職場の魅力、そして療育に対する想いを伺いました。

転職のきっかけ─初めての挑戦が未来を変える

質問:入社の経緯を教えてください。

杉山:私はもともと救命救急センター(CCU)で2年ほど働いていましたが、新たな挑戦のために転職することにしました。そこで紹介会社に紹介されたのが重症児デイ Hütte・HütteKinder(ヒュッテ・ヒュッテキンダー)です。当時は「重症心身障害児」という言葉にも馴染みがなく、どんな子どもたちが利用しているのかを調べるところから始めました。

見学で施設を訪れた際、「お家のような雰囲気」に驚きました。病院のような緊張感がなく、子どもたちが安心して過ごせる環境が整っている。ここなら私も自分らしく働けるのではないかと思い、入社を決めました。

日々の業務─医療ケアと療育を支える看護師の役割

質問:日々どのような業務を行っていますか?

杉山:看護師として、利用児の健康状態を観察し、医療的ケアを提供することが主な業務です。例えば、栄養注入や人工呼吸器の管理、導尿など、日常的に必要なケアを行っています。また、初回利用児の保護者から聞き取りを行い、子どもの病状、緊急時対応などの確認をしています。

子どもたちの「普通」を考える支援─業務で意識していること

質問:日々の業務で意識していることは何ですか?

杉山: 利用児一人ひとりの個性を大切にし、その子にとっての「普通」を考えながら仕事をしています。例えば、体温が高い場合でも、その子にとっては通常の状態なのか、それとも異常なのか。発作が起きたときも、それが日常的なものなのか、特別な事態なのかを見極める必要があります。

また、重症心身障害児は自分の気持ちを言葉で伝えることが難しいため、表情や行動から何を考えているのかを感じ取るようにしています。ただ、その答えに絶対的な正解はなく、時には「この子は本当に何を伝えたいのだろう?」と悩むことも多いです。それでも、その子の気持ちを決めつけず、真剣に向き合うことを意識しています。

保護者の想いに寄り添う─信頼を築く聞き取りの大切さ

質問:初回利用児の保護者への聞き取りで意識していることは何ですか?

杉山: 保護者がデイサービスを利用するまでには、その子どもが小さな体で多くの治療を乗り越え、家庭でのケアを続けてきた背景があります。そのため、私は聞き取りを行う際、家族全員で頑張り続けてきたことに対する敬意や尊敬の気持ちを大切にしています。

また、聞き取りの内容は医療的な観点に留まらず、療育的な視点からも幅広く伺うようにしています。その子どもの成長や状態を最もよく知る保護者の話に耳を傾けることで、「この子にはどのようなケアが必要か」を一緒に考え、共有することが重要です。

加えて、施設内でスタッフ全員が同じようにケアを提供できるよう、保護者からの情報を的確に共有することも心がけています。利用児にとっての安心感を高め、保護者に「ここなら信頼できる」と感じてもらえるような対応を常に意識しています。

職場の雰囲気─お家のような温かさとチームの連携

質問:職場の雰囲気やスタッフ同士の関係性について教えてください。

杉山: 職場の雰囲気は、一言で言うと「お家」のような温かさです。スタッフ同士も和気あいあいとしており、お互いにサポートし合いながら働いています。
また、利用児の中には気管切開をしている子もおり、緊急時の対応が必要なことがあります。たとえば、気管カニューレが抜けてしまった際にはスタッフ全員が動き、無事に対応できるようにさまざまな勉強会を定期的に開催しています。

勉強会では、気管切開や感染症対策、嘔吐時の対応方法などを取り上げています。これらは施設長と相談しながら企画・調整して実施しており、現場で必要な知識やスキルを全員が共有できる場となっています。さらに、新しく入ったスタッフには「困ったら何でも声をかけてください」と伝えるなど、サポート体制の強化にも努めています。

やりがいの瞬間─触れることから始まる成長と癒し

質問:重度心身障害児と関わる仕事をしていて良かったと思った瞬間はありますか?

杉山:子どもに「触れること」の大切さを学んだのは、今の仕事を通じて得た大きな気づきです。最初は触れることに抵抗がありましたが、「まずは触れることが大事」というアドバイスを受け、積極的に関わる中で相手を知る第一歩となることを実感しました。この経験はプライベートでも役立ち、姪っ子や甥っ子との関わりにもつながっています。触れることはただの接触ではなく、相手を知る第一歩だと感じています。

また、子どもたちの笑顔を見る瞬間は何よりの癒しです。例えば、医療行為がメインの支援中でも、ふとした瞬間に子どもが笑顔を見せてくれると、それだけで疲れが吹き飛ぶ気がします。さらに、保護者の方から名前を覚えてもらい、「杉山さん、ありがとうございます」と声をかけていただけることも大きな励みになります。看護師としての役割以上に、親御さんと子どもたちがwin-winの関係を築くお手伝いができているのだと思うと、非常に嬉しいです。

子どもたちが施設で安全に楽しく過ごし、親御さんがその間に休息や仕事をして充実した時間を過ごす。そして、子どもが帰宅したときに笑顔で迎えられる。そんな親子の素敵な循環の一部となれることは、私のやりがいであり、この仕事の魅力そのものだと感じています。

療育の本質─観察と興味が生む支援の形

質問:杉山さんにとって「療育」とは何ですか?

杉山:「療育」とは、その子にとっての「普通」を理解することから始まると考えています。その子のベースを知り、そこからどのように成長を支えられるかを観察しながら広げていく。これが療育の根本だと思います。やりすぎるのも良くないし、逆にやらなさすぎも良くない。その子がどんな子で、何が好きで何が嫌いなのか、一つひとつ理解することが大切です。

言葉で気持ちを伝えられない子どもたちに対して、私たちは一生懸命感じ取り、読み取る努力をしています。答えがないからこそ、日々観察し、試行錯誤を繰り返す。この過程こそが療育の専門性であり、魅力だと思います。

「療育」において大事なのは、子どもへの興味と関心を持ち、「わかりたい」という気持ちで関わることです。この気持ち自体が、療育の答えに近いのではないでしょうか。興味を持つことで仕事に面白みを感じ、やりがいにもつながります。それが、子ども一人ひとりに寄り添う療育の本質だと思います。

転職希望者へのメッセージ

質問:重度心身障害児支援へ転職を考えている方にメッセージをお願いします。

杉山:重症心身障害児の支援はハードルが高いと感じるかもしれませんが、まずは施設見学に来て、そして子どもを見てほしいです。子どものことをよく知っている先輩スタッフのサポートが充実しており、みんなで助け合う環境が整っています。医療的ケアだけに目を向けるのではなく、「この子を知りたい」という気持ちを持って関われば、自然と仕事の魅力が見えてくるはずです。

まずは施設見学にお越しください

「まずはその子を知ることから始めよう。」杉山さんの言葉からは、子ども一人ひとりと真剣に向き合う姿勢が伝わってきます。

温かい職場で、子どもたちと共に成長する未来を築いてみませんか?まずは現場を見てください。その一歩があなたの未来を変えるきっかけになります。

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